蒸気船マークトゥエイン号とは、東京ディズニーランドが開園した1983年から存在しているアトラクションで、船長と一等航海士のナレーションを聞きながら、ウエスタンランドにあるアメリカ河を約12分かけて一周する大型客船です。
アメリカ河に沿って広がる風景を船長や一等航海士がナレーションで説明してくれますが、その中には燃えている小屋についての発言もあります。
出港しておよそ4分後、船内に流れるナレーションの中で、一等航海士が緊迫した声で、
「キャプテン、右舷に開拓者の小屋が燃えています」
と言い、燃えている小屋を発見します。
すると、乗船しているゲストは、気になって右側に見える小屋を見ますよね?
実は、これが狙いなのです。
燃えている小屋とは反対の岸には、蒸気船マークトゥエイン号のメンテナンスをするためのドックがあります。このドックは、夢の世界から見えてはいけないパークの裏側(バックステージ)であるため、ゲストに見せたくないエリアとなります。
しかし、これだけの大きさの船を格納するドックは、入口もそれなりの大きさでなくてはなりません。また、アメリカの西部開拓時代という設定のエリアのため、ドック入口にドアや壁のようなものを設置してしまうと、エリアの雰囲気を損なう恐れがあります。このような理由から、ゲストの目からドックを完全に隠すのは難しいという事情があると考えられます。
そこで、ドックがある側とは反対の方向にゲストの目を向けるために、燃えている小屋が設置され、船内のナレーションでその小屋に注目するようゲストを誘導していると思われます。
小屋が燃えるという、現実の世界で起こっても驚くようなインパクトのある出来事を模擬しているという点でも、ゲストの目線を集めたいという狙いがうかがえます。
以上のように、蒸気船マークトゥエイン号では、ゲストにパークの裏側を見せないための工夫がなされているのです。これは、ゲストが現実世界を忘れてパークを楽しめるようにという配慮のあらわれだと考えられます。パークを訪れた際には、現実世界を忘れて思い切り楽しみましょう。